口腔機能発達不全症|太田市の小児歯科
2020年09月12日
こんにちは、歯科医師の今野です。
突然ですが、「口腔機能発達不全症」という言葉をご存知ですか?
簡単に言うと、「食べる」「話す」「呼吸する」といったお口の機能がしっかり育っていない状態のことで、現代の子供たちに増えてきています。
今までは、歯科医院での子供たちの治療といえば「むし歯治療」「歯肉炎の治療」といったものがメインでしたが、このような「口腔機能の治療」というものも保険診療で行うことができるようになりました。
その背景として、健康寿命の延伸のために、口腔機能の重要性が見直されてきたことがあります。
年齢を重ねてもお口からしっかり食事することで、高齢になってからのフレイル(虚弱)や誤嚥性肺炎の予防につながり、介護予防につながります。
そのためにはまず小児期に高い機能を獲得することが重要です。
では、なぜ今の子供たちに口腔機能の発達不全が増えているのでしょうか。
それは、現代の便利な世の中にも原因があります。
例えば、噛みやすい柔らかい食事ばかりでは噛む力が育たず、あごも育ちません。
それにより舌や唇の力も弱くなり、歯並びが悪くなったり、口呼吸になって風邪の引きやすい子に育ちます。
使わない機能が育たない、ということを示す1つの実験があります。
コオロギは自然界では飛んで餌を探す昆虫ですが、捕まえてきたコオロギに餌をやるとやがて飛ぶことができなくなるそうです。
しかし、餌をごく少量に減らし、飛ばないと取れない場所に置くと、だんだん飛ぶ機能が回復するというのです。
人についても同じように、使わない機能は衰えていきます。
そして、そういった機能を育てるためにはトレーニングが必要です。
次回も口腔機能発達不全症についてもう少しお話していきます。
ここまでお読みいただきありがとうございました。