痛くないむし歯
2020年07月3日
こんにちは、歯科医師の今野です。
今日は「痛くないむし歯」についてお話します。
私たちが患者さんに治療予定のむし歯についてお話しするとき、患者さんが分かりやすいように治療部位の写真を撮ってお見せするのですが、お見せしたときに
「そんなことになっていたなんて」
「痛くないから、むし歯じゃないと思ってた…」
とおっしゃる方がよくいらっしゃいます。
また、
「2週間前までむし歯が痛かったが、放っておいたら治った」
とおっしゃる方もいらっしゃいますが、痛みが引いたからといって、むし歯自体が治ったわけではありません。
では、むし歯で痛みの出ない場合とはどのような状況なのでしょうか。
むし歯で痛みのない場合
1、 むし歯が小さいとき(初期むし歯)
むし歯がまだ小さくてエナメル質、という歯の表層部分にとどまっている場合はまだ痛みが出ません。この段階ならまだ、予防管理を行うことで削らずに済む場合があります。
2、 むし歯が神経近くまで進んでいるが痛みがないとき
むし歯が神経の近くまで進んでいて痛みのない場合は、むし歯がゆっくり進行している時です。むし歯がゆっくり進むにつれて神経を保護するように歯の内側に硬い組織(第三象牙質)が作られるので、痛みのないまま進行します。
放っておくと、気づかぬうちにむし歯が神経に達し、神経をとる処置が必要になりますので、早期の治療が必要です。
3、 神経が死んでしまっているとき
むし歯が神経のお部屋まで到達しているのに痛みのない場合、歯の神経が死んでしまっている可能性があります。
一度痛みが出たのに治った、と思っている場合はこれが該当する可能性があります。ここまでむし歯が進んでしまっていると、歯の根の先に膿がたまっていることが多く、そこから歯の埋まっている骨が溶かされて歯が揺れてきたり抜歯になってしまうこともあるので、痛くなくても早めの受診が必要です。
削られた歯、抜けてしまった歯は、人工物で補うことはできても自分自身の歯を再生することは現段階ではできません。
ご自身の大切な歯を守るためには、痛みがなくても定期的に歯科医院を受診し、予防管理を行うことが大切です。