子供の歯(乳歯)ですか?
2019年12月17日
こんにちは、歯科医師の今野です。
日頃から子供のむし歯を治療することが多いのですが、保護者の方にお子さんのむし歯について説明すると、
「それ、子供の歯(乳歯)ですか?」
とよく聞かれます。
「子供の歯です」
と言うと大抵の方が「ああ良かった」と安堵されます。
子供の歯はいずれ生え変わる歯です。
では、「子供の歯なら、むし歯になっても安心」なのでしょうか。
実はそうではありません。
子供の歯(乳歯)のむし歯を放置すると次のような様々な問題が発生します。
①痛みと噛む力の低下
乳歯のむし歯が進行すると痛みが生じて食べ物を十分に食べられなくなります。
②むし歯のリスクの上昇
むし歯を放置するとむし歯の原因菌がお口の中からいなくならないので、他の歯に新たなむし歯ができるリスクが高まります。
③大人の歯(永久歯)への影響
子供の歯のむし歯を放置して根の先に病気ができた状態を放置すると、後から生える永久歯の色や形に異常がでることがあります。
すると、永久歯もむし歯になりやすい状態になって生えてきてしまいます。また、永久歯の生える位置や方向に異常が生じます。
④歯並びへの影響
乳歯の崩壊や喪失があると、隣の歯や噛みあう歯が移動し、将来の永久歯が生えてくるスペースがなくなってしまうために、歯並びや噛み合わせが悪くなります。
⑤発音や舌運動への影響
むし歯による前歯の崩壊や喪失があると、発音の発達に影響するだけでなく、舌を突き出す癖の原因になります。
⑥全身的・心理的影響
歯の痛みや喪失により食べる量、栄養が不十分になると全身的な成長不良や免疫力の低下につながります。
むし歯の原因菌がほかの臓器に障害を及ぼすこともあります。
また、むし歯は見た目の悪さや口臭の原因になり、子供の心理に悪影響を与えることがあります。
子供の歯だからまあいいや、ではなく、子供の歯だからこそ「むし歯かな?」と思ったら歯科医院の受診をお勧めします。
子供のうちにしっかりむし歯を予防しましょう。