麻酔
2019年10月29日
こんにちは、歯科医師の今野です。
先日、麻酔をして5歳の女の子のむし歯治療をしていたところ、夕方でお疲れだったのかうとうと途中で眠ってしまいました。
その姿を見ていたお母さんから心配の声が。
「麻酔が効きすぎちゃったってことはないですか?」
治療に使った麻酔によって眠くなってしまったのではないかとご心配されたようです。
さて、みなさん、
歯科治療で良く用いられる「麻酔」とはどういったものかご存知ですか?
麻酔は大きく分けて
『全身麻酔』と『局所麻酔』の二つに分けられます。
大きな病院では全身麻酔を使って眠らせた状態で歯科治療を行う場合もありますが、一般的に歯科診療所で使われるのは『局所麻酔』です。
全身麻酔と局所麻酔はどちらも『麻酔』を名乗っていますが、全く別物です。
全身麻酔は中枢に働きかけて、
①完全麻痺(無痛)
②意識消失(眠り)
③ストレス反応の減弱(身体の不動化)
の3つの要素をもたらします
一方、局所麻酔は痛みをもたらす刺激が中枢に侵入する前に神経伝導を遮断することで無痛が得られるので、局所麻酔薬を使ったからといって眠くなることはありません。
また、局所麻酔薬(リドカイン)によるアナフィラキシー反応の頻度は0.00007%と言われています。
中毒量は500mgと言われていますので、通常の歯科治療での使用量(1本1.8ml)では中毒量に達しません。特に子供に使用する時は成人に用いる場合よりずっと少ない量で治療しています。
多くの人が苦手意識をもつ麻酔ですが、遥か昔、麻酔のない時代に麻酔なしで抜歯していた古人の苦痛を思えば、とても有難く、歯科治療になくてはならないものです。
治療について何か気になることや不安なことがあったらいつでもお気軽にお聞きください。